レジナ・土田直樹社長インタビュー
「社会性のある製品と出会った!」レジナ・土田氏インタビュー
時代の移り変わりと共に増えてきたもの
株式会社レジナ 土田直樹氏
オールアース住宅や
エルマクリーンなどを手掛ける
私たちの身の回りには、便利で機能が充実したもので溢れています。それらは、快適さを生み出した代償として、見えない副作用を創り出してしまいました。
昭和30年代はじめ、大変な犠牲を払って未開の地を開拓しながらの水力発電所の建設により、一般の家庭にも安定した電気の恩恵を与えてくれました。現代は空気が汚れなくて環境負荷がとても低い電気というすばらしいエネルギーを使って、電化製品や住宅設備は、200Vの電圧を使用することで、電流値を抑え、電気を有効にかつ効率的に使えるようになってきました。
こうした電気を使うために、住まいそのものも進化を続けてきました。しかしながら、生活スタイルはそのままであるにもかかわらず、生活環境が大きく変わったことによるギャップが生じて、心と身体に違和感を生じてアレルギーとして疾患が表面化していることがわかってきました。
この原因と考えられているのが「電気の副作用である電磁場」なのです。
電気を使えば、多かれ少なかれ電磁場が発生するわけですが、すべてのものが影響を心配しないといけないわけではありません。ほとんどのものは身体との距離がとれるものばかりですから、一つの判断の尺度として「身体に密着しているもの」という区分を示して、対策が必要かそうでないかの判断をするというものです。
そうすれば、どのようなものに対策が必要か否かが、非常に明確にわかってきます。下の図をご覧いただくとわかりますが、過去5年以内の新築と築30年以上の建物とを比較していますが、これだけ準備万端な住環境を創り出すために住まいそのものも進化しています。
つまり、電磁場を発生しているのは家電製品ばかりではなく、建物内部の配線からも、同じ電磁場が発生しているということなのです。
でも、これらのことは最初から分っていたことではありませんでした。
エルマクリーン開発秘話
まず、私たちが取り組んだ開発は、「長い時間、直接触れ続ける家電製品への電場対策」という条件に該当する機器への電場対策というテーマから、スタートしました。
この条件に当てはまる家電製品といえば「パソコン」からの電場対策です。
パソコンに触れているだけで、身体全体に電気が伝播して、常に電気に覆われている状態を分っていただくために、「電場を検知する検知器」を創りました。
そして、この電場をなくすためには「アース」が最も有効であることから、電源コードにアース端子が付属している場合やテレビ端子に接続されている場合を除いては、「エルマクリーン」が必要となります。このエルマクリーンをパソコンの金具部分に接続してコールドラインをセレクトすると、検知器をパソコンにあてても音がなりませんから、見えなかった電場を音や光で検知することが出来るようになったのです。
次に、直接触れ続けるものと言えば、「電気毛布」と「電気カーペット」です。
これらについては、とても大きな失敗と貴重な経験をさせていただきました。
パソコンの場合は。筐体と言って金属で覆われているため、どこか一箇所でも金属と接続すれば電場は電位の低いほうへアースされていきますが、電気カーペットや電気毛布のように、ヒーター線が内部に入っていて、外側を繊維で覆われているようなものは、どこか端を接続しても、全く意味がありません。
そのため、特殊な繊維を開発して、ヒーター線と外側の毛布との間にその繊維を織り込み、アース端子と直接結びつける(特許申請済)という方法によって製品化しました。
ところが、当初は洗濯がOKということで、洗濯した後、その内部の特殊繊維とアースのコネクターとの接触がうまくいかず、電場が抑えられているかどうかを確認するための検知器が止まらないという現象が起きて、お客様から戻ってきたものに対して、そうならないように改善した新しいものと交換したりして、プレマーケティングのお客様に、ご迷惑をおかけしたことをはっきり覚えています。
本生産に移ってから量産タイプになってからはそのようなことは無いのですが、また別の問題が発生して、今度は製品の問題ではなくお客様の環境によるエルマクリーンでは解決できない問題だったのです。
もうひとつの壁
販売が好調に進むに連れて、お客様より取扱説明書どおりに設置しても「検知器の音が止まらない」というお問い合わせが徐々に増えてきました。
このお問い合わせの内容を確認していくと、ある共通点がわかりました。それは、木造二階建ての二階部分で電気毛布や電気カーペットを使用しているご家庭が多く見受けられ、実際に伺って測定器で確認すると驚くことに、お部屋のコンセントをすべて抜いて、電気を使用しない状態をつくっても、同様の電場が発生しているのです。
原因は、住まいの電気を供給するために建物の内部に縦横無尽に走っている「屋内配線」からのものでした。確認のために、ブレーカーを落とすと、数値は瞬間で0に近い数値まで減衰していきました。
検知器の特徴として、検知器を持っている手と対象物との電位差を検知して、電場の有無を判断していますから、その手が電場に覆われた状態をつくっていると、アースが取られているカーペットとに電位差が生じてしまい、音が止まらないという現象を引き起こしていたのです。つまり、2階の床の上には、その下に入っている配線からの電場が床に伝播して、身体に伝播しているため、検知器が電位差を判断して音が鳴ると言うことなのです。
これには、本当に驚きましたし、このことを理解いただくために何度もお電話で説明させていただきましたが、「言っている意味がわからない」「それだったら、家電製品だけをアースしても意味が無いじゃないか」といって商品の返品と言うこともありました。
使用する家電製品に対してアースをとることで、そこは電気の影響を受けにくい場所となり、屋内配線からの電場については、場所によっては簡易的な対策が必要ですので、そうしたコンサルティングをきちんとできる人材の育成がどうしても必要であると考えて、国内で初めての「電磁波測定士」という資格制度を創設することとなったのです。
電磁波測定士の誕生
私たちが、こうしたコンサルタントの必要性を感じたのは、住まいが一律で同じものであれば、何の苦労も無くひとつのルールで標準かできたかと思います。
しかしながら、住まいと言うのは集合住宅もあれば個人住宅、そしてオフィスから学校など建物の構造から用途による区分まで含めると、大変多くのパターンがあることに気がつき、私たちの測定してきた経験をきちんと体系化して、カリキュラムに落としていくことで、多くのニーズに応えられるのではないかと考え、この制度をスタートさせました。
現在、全国に140名の測定士が、地域の測定依頼や電磁波に関するお問い合わせに対応してくれています。
まだまだ、仕事に対する対価としては満足いくほどのものではありませんが、お客様が喜んで安心してくれる顔を見れることで、やりがいと社会的な使命感を感じて日々頑張ってくれています。
オールアース®住宅の誕生
こうした背景から生まれた技術がオールアース®という「屋内配線」への対策技術ですが、この技術で使用する部材やノウハウは、勝手に一人歩きすることなく、必ず電磁波測定士の資格者でなければ供給できない仕組みになっています。
これは、実際に現場説明から測定結果報告書の作成にいたるまで一連の流れを経験した測定士であれば理解できますが、オールアースをきちんと理解していなければ、住宅ですからやりかえなんて出来ませんし、取り返しのつかないことになりますから、この部材の導入と対策のコンサルティングとは切り離すことができないということを痛感しているからなのです。
具体的な内容はここでは述べませんが、この技術が揺るがない大きなマーケットを創造していることは間違いないと確信しています。
法的にも住宅については多くのことが見直されてきて、本当に住まいのことを考えて取り組んできた企業においては、国産の無垢材を使用してシックハウス対策を講じてきましたが、それだけでは片手落ちであるということをご認識いただき、この技術を標準スペックの中に取り入れていくという取り組みが始まりました。
これから、皆さんと共に「安心できる住まい」の安心パーツのひとつとして、お付き合いできると願っております。